昭和60(1985)年頃に、大人気を博したのが、サンスター文具(株)のステーショナリーロボ「文九郎」である。
当時、メカ好きでもあった自分としては間違いなく購入するはずなのだが、片田舎に住んでいたせいか、お目にかかることもなく、後のモノ・マガジンの文具特集の記事で知った次第である。
その後、平成16(2004)年に、「二代目 文九郎」が販売されることとなる。
さて、当時、文九郎の売れ行きの良さからサンスター文具(株)は、「夢・知・遊 ステーショナリーロボ」シリーズとして、文九郎を含め以下の5種類の「文具ロボ」が販売された。
・文九郎
・救太郎
・お糸ちゃん
・ロボQ
・テレQ
「ステーショナリーロボ」シリーズは、イロブンのきだて氏がTV東京系番組「開運!なんでも鑑定団」の「幻の逸品買います」のコーナーで募集していたことをきっかけとして、かなり認知度が高まったと思う。
ここでは、現在入手できている分を公開する。順次、入手できれば、情報を追加したい。
・製品名/型番 | : | 文九郎(初代)/DH701-1-2980 |
・発売時期 | : | 昭和60(1985)年 (昭和62(1987)年?) |
・高さ×幅×奥行き[mm] | : | 122×138×140 |
ステーショナリーロボシリーズのきっかけとなったのが、この「文九郎」である。
サンスター文具(株)のWebサイトにある会社紹介の年表によると、「文九郎」は昭和60(1985)年に発表されたことになっている。たしかに、研究所にある「文具・事務機でみる戦後50年(文研社)」でも、昭和60(1985)年と記載されている。一方で、モノ・マガジンの新製品情報として掲載されたのは、昭和62(1987)年4月号である。年数に2年の隔たりがあるのだが、その間に発行されたモノ・マガジンの文房具特集(昭和61年4月号)にも、文九郎は掲載されていないのは、モノ・マガジンが単に新製品の紹介を忘れたとも思えない。
もう少し、複数の情報と照らし合わせる必要があるが、現時点では、昭和60(1985)年が、製品の発表、販売開始年ということにする。
なお、研究所が入手した初代「文九郎」のパッケージは、写真のように中が見えないようになっており、初期のモデルと思われる。特徴的なのは、機能の説明に使われている文九郎が、試作品と思われる点である。
(冒頭のTV東京系番組「開運!なんでも鑑定団」の「幻の逸品買います」のアンサー報告では、一部がセロファンになっている中が見える箱であったことから、2種類の箱が存在する。)
No | 位置 | 文具 |
---|---|---|
1 | 頭部 | メジャー |
2 | 背中 | ボールペン(黒、赤) |
3 | 背中中央 | ハサミ |
4 | 右肩 | 消しゴム |
5 | 左肩 | 水性のり |
6 | 腹部上部 | セロハンテープ |
7 | 腹部下部 | メモ用紙 |
8 | 右足 | ステープラ |
9 | 左足 | カッター |
価格は、2,980円(当時)。
・製品名/型番 | : | 救太郎/DH915-5-3500 |
・発売時期 | : | 昭和62(1987)年頃? |
・高さ×幅×奥行き[mm] | : | 152×120×135 |
救急セット・ロボ。
色は、写真のピンクの他に緑がある。「太郎」という製品名なので、緑のほうが売れて、ピンクが残っていたと思われる。
実は販売当初、写真のように体温計が付属していたが、後に薬事法(第2条)の「医療機器」(当時は「医療用具」)に該当し、販売が規制されていることが判明したため、後期モデルは体温計本体が付属しなくなった。
No | 位置 | 文具/機能 |
---|---|---|
1 | 頭部 | 爪切り |
2 | 頭部 | ピルケース |
3 | 右胸 | ハサミ |
4 | 左胸 | 毛抜き、安全ピン |
5 | 腹部 | インデックス(電話帳) |
6 | 右手・左手 | 体温計、メモを挟む |
7 | 背中 | 体温計 |
8 | 背中 | 携帯用救急箱 |
9 | 右足 | 救急ばんそうこう |
10 | 左足 | 耳かき綿棒 |
価格は、3,500円(当時)。
・製品名/型番 | : | お糸ちゃん/DH719-1-3500 |
・発売時期 | : | 昭和63(1988)年頃 |
・高さ×幅×奥行き[mm] | : | 146×154×154 |
お裁縫道具が詰まった、ソーイング・ロボ。「お糸ちゃん」というネーミングが非常に良い。
「文九郎」「救太郎」に続く第三弾として発売。
足の部分は、回転出来るようになっており、必要なパーツが取り出しやすいようになっている。特徴的なのは、手の部分がマグネットになっており、一時的に針を付けておくことが出来る。
機能ではないが、下記表に記載のない左耳は、ひねると頭部の蓋が開くようになっている。
No | 位置 | 文具/機能 |
---|---|---|
1 | 頭部 | ピンクッション、まち針3本 |
2 | 右耳 | 小物入れ |
3 | 右肩 | 糸通し |
4 | 左肩 | リッパー(糸切り) |
5 | 右手・左手 | マグネット |
6 | 背中 | メジャー 1.5m巻き |
7 | 胸部 | カラーボビン 30m巻き(青、ピンク、黄) |
8 | 腹部 | はさみ |
9 | 足1 | 安全ピン |
10 | 足2 | 針5本 |
11 | 足3 | チャコペンシル2本(青、ピンク)、ゴム通し |
12 | 足4 | ボタン4個、ホック2個 |
価格は、3,500円(当時)。
・製品名/型番 | : | テレQ/DH720-2-3500 |
・発売時期 | : | 昭和63(1988)年頃 |
・高さ×幅×奥行き[mm] | : | 118×133×162 |
電話の保留オルゴール機能の付いた文具ロボが「テレQ」である。
「お糸ちゃん」と同時か、すぐ後に販売された。
今でこそ、電話機自体に保留機能が付いているのは当たり前だが、このテレQが発売された当時は、旧電電公社の黒電話を使っているところも多く、電話の保留音としてゼンマイ式のオルゴールを使われていた。
つまり、電話を保留にするときは、テレQの頭部に受話器を置くとオルゴールが鳴り、保留中の会話などが相手に聞こえにくいようになるのである。
入手したテレQのオルゴールは、エーデルワイスであった。
No | 位置 | 文具/機能 |
---|---|---|
1 | 頭部 | オルゴール |
2 | 背中 | セロハンテープ |
3 | 右肩 | 朱肉 |
4 | 左肩 | 切手ケース |
5 | 腹部上部 | ハサミ |
6 | 腹部下部 | メモ用紙、ボールペン |
7 | 右足 | クリップ |
8 | 左足 | 印鑑ホルダー |
9 | 内部 | テレフォン・インデックス |
価格は、3,500円(当時)。
・製品名/型番 | : | 二代目 文九郎 |
・発売時期 | : | 平成16(2004)年 |
・高さ×幅×奥行き[mm] | : | 158×130×130 |
文具王こと高畑氏が中心となって復活させたのが「二代目 文九郎」である。
外見だけでなく、文具の格納場所の飛び出し方も初代と比べ、ギアをつかってバネの瞬発力を分散させている。
お笑いコンビの「北陽(伊藤さおり、虻川美穂子)」によるTV-CMも流れた。
No | 位置 | 文具/機能 |
---|---|---|
1 | 頭部 | 印鑑ホルダー |
2 | 背中 | ボールペン(黒) |
3 | 背中 | シャープペンシル |
4 | 背中中央 | ハサミ |
5 | 右肩 | 水性のり |
6 | 左肩 | 消しゴム |
7 | 腹部 | ステープラ |
8 | 腹部 | セロハンテープ |
9 | 右足 | カッター |
10 | 左足 | メモ用紙(付箋紙) |
価格は、消費税(5%)込みで、2,961円。