1980(昭和50)年代前半に、複合筆記具のひとつとして、デジタル時計のついたボールペンやシャープペンシルが各社から発売された。
当時は、デジタル時計以外にラジオ付きなどもあった。(シヤチハタのネームペンもまさに、この頃=1983(昭和58)年に発売された)
高級ギフトの一つとして大変な人気を博していたのだが、香港製の安い時計ユニットが出回ったことで、高級感が薄れ、いつの間にか、市場から消えていった製品である。
現在、所蔵している資料から、デジタル時計付きペンを探し出すと、結構な種類が出てきた(表参照)。 これらは、1983年、1984年に発行された雑誌から見つけたもので、前後の年に発刊された雑誌からは、見つけることが出来なかった。
メーカー | 製品名 | 価格 (当時) |
特徴など | 電池種別×個数 | |
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三菱 鉛筆 |
ダブルペンタイマー | 8,000円 | うるし調 軸色:赤・紺・こげ茶・黒 |
0.8mm ボールペン 0.5mm シャープペンシル |
TR41W×1 (現:SR41W) |
6,500円 | ステンレスヘアライン 軸色:銀 |
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ペンタイマー | 8,000円 | 軸色:金・赤 | スライド式ボールペン、アラーム、時報付 | ||
6,500円 | 軸色:銀 | ||||
エクシード | 5,000円 | うるし調 軸色:赤・紺・こげ茶・黒 |
水性ボールペン | ||
ゼブラ | シャーボ・ウォッチ | 8,000円 | ステンレス軸:滑り止めに4パターン カラー軸:黒・赤・青・白 |
時計部分は、諏訪精工舎製 | SR626SW×1 |
2色・ウォッチ | 5,000円 | 赤、黒のボールペン | |||
パイロット 万年筆 (現:パイロット) |
クォーツペン・メロディ:万年筆 | 8,000円 | 軸色:ブラック・ブラック&レッド | 曲:草競馬・漕げよマイケル・峠の我が家 オートカレンダー、時報、電子アラーム付 |
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クォーツペン・メロディ:シャープペンシル | 6,800円 | 軸色は3種類 | |||
クォーツペン・メロディ:ボールペン | 6,800円 | 軸色は3種類 | |||
クォーツペン・メロディ:2色ボールペン | 8,000円 | ||||
プラチナ 万年筆 |
ライティング・ウォッチ:ボールペン | 5,600円 | ストップ・ウォッチ付き | SR41W×1 | |
ライティング・ウォッチ:シャープペンシル | 7,000円(?) | ||||
セーラー 万年筆 |
マルチック:2色ボールペン | 5,000円 | ステンレスヘアライン仕上げ | SR41W×1 | |
マルチック:シャープペンシル | 8,000円 | ||||
トライデント(万年筆)デジタルウォッチ付き | 9,000円 | ||||
ぺんてる | ウィンダム デジタル時計付シャープペンシル | 8,000円 | うるし調/軸色:赤 まだら模様 | ||
コーリン 鉛筆 |
ウォッチペン | 5,000円 | 軸色:茶・青・赤 まだら模様 | ||
3,500円 | シルバーボディ、軸色:黒・赤・青・銀 | ||||
モリソン 万年筆 |
ペンウォッチ | 3,000円 | |||
ペンウォッチ・スリム | 3,000円 |
実際には、上記リスト以外にも存在すると思われる。
また、「デジタル時計」をターゲットにしているため、「アナログ時計付き」は含めていない。
現在、研究室に保管されている製品と紹介するとともに、今後入手した場合には、随時登録していく。
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ストップ・ウォッチ機能の付いた製品。
筆記中にストップ・ウォッチが必要になるのは、試験の時くらいしか思いつかないが、当時としては、そんな場面を想定して販売されたのだろう。
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シャーボにデジタル時計が付いたモデル。ステンレス軸には、4種類のグリップの模様(=滑り止め加工)があり、写真の他に四角いブロック・パターンと縞模様がある。また、ステンレス軸の他に、カラー軸として、4色(黒、赤、青、白)がある。 おそらく個体差だと思われるが、写真の製品は、実は回転部分を中心として、クリップ方向(写真上方)に反っている。 |
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ミュー/ミューレックスは、ペン先と軸が一体になった特徴的なペンで有名であるが、そのデジタル時計付きが、1981年に販売された写真の製品である。 |
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表には「クォーツペン・メロディ」という製品があるが、これはメロディなしのアラーム付きの2色ボールペンで別製品である。
アラーム機能と時報機能を持っており、アラーム音を有効にすると、1時間毎に「ピッ」というアラームが鳴る。
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シャープペンシルとボールペンのマルチペン。シャープペンシル時に、頭部をノックすると、時計部分が下がるようになっている。 |
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ボタン操作
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アラーム機能付きのボールペン。ボールペンは、軸中央部のボタンをスライドさせると出てくる。戻すときは、裏のストッパーボタンを押す。
特徴的なのは、平たい軸とクリップ部分に時計用の窓があることである。また、時計操作ボタンが写真の裏側にあり、ペンを机などにおいても、ボタンが押されないように、突起物でガードされている。
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主にデジタル時計や電卓などの販促品を手がけているアデッソ(株)の製品。 時刻表示、修正ボタンは、ペン上部にある。 |
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ボタン操作
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表には「クォーツペン・メロディ」という製品があるが、これはメロディなしのアラーム付きの単色ボールペンで別製品である。
アラーム機能と時報機能を持っており、アラーム音を有効にすると、1時間毎に「ピッ」というアラームが鳴る。
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セーラー万年筆のデジタル時計付きペン。黒と赤の2色ボールペンになっている。
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ボタン操作
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先に掲載した、ストップ・ウォッチ機能の付いた製品の銀メッキのモデル。
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ボタン操作
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時計部分が無骨で、機能も時刻のみでありながら、価格が高めであることから、デジタル時計付きペン初期の製品と思われる。
(リフィルの製造年月は、80-02であった。) |
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表には「クォーツペン・メロディ」という製品があるが、これはメロディ・アラームなしの単色ボールペンである。 N.S氏より提供。この場を借りて多謝。 |
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ボディノック式シャープペンシルのデジタル時計付き。 製造元は不明で、軸中央部には、"KATOH 0.5 JAPAN"の刻印が有るのみ。 クリップは、中央部が盛り上がっているが、根元を見ると若干浮いている事から、使用中に曲がってしまったと思われる。 一見すると、時刻合わせのボタンがわかりにくが、本体頭部が、2重ボタン構造になっており、S1が全体で、S2が内側になっている A.F氏より提供。この場を借りて多謝。 |
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デジタル時計付きシャープペンシル。 「デジタル時計付きペン」といえば、本ページの大半がボールペンだが、コーリン鉛筆は、あえてシャープペンシルで製品化を行ったようだ。 しかも、前出のボディノック式とは違い、通常のノック式である。写真ではガイドパイプを出しているが、スライドパイプ式になっているため、 未使用時には、パイプが収納可能。 ちなみに、中に入っていた替芯は、ゴールド芯ではなかった。 |
S1 | : |
時刻表示時に押すと、[月 日]->[秒]->[現在時刻]と変化 時刻修正モード時に押すと1つづつ値を増加 |
S2 | : |
長押し(2秒以上)すると、時刻が点滅し、時刻修正モード 時刻修正モード中に押すと、[月]->[日]->[時]->[分]->終了と変化 |
参考
Last update: 2014/07/21