カード文具の歴史

(文具研究棟:カード文具研究室)

      
「カード文具、カードツールは、いつから出始めたのか?」−収集を始めて、ふと、思った疑問から、研究所に残っている古い雑誌や、文房具関係の書籍を取り寄せたり調べた結果を、ここでまとめることにする。 未だ、確定(断定)できていない部分も多く、特に「最初のカード文具」がどれで、いつ販売されたのか?は、残っている資料での情報から判断したものであり、確定ではない。
      
・  (クレジット)カードのサイズの定義(規格)
 −(クレジット)カードのサイズは、いつ決まったのか?−
 

「カードサイズ」と言えば、クレジットカードの大きさが当たり前となっているが、 クレジットカードが登場したとき(1950年:アメリカ)から、今のサイズになったわけではない。
#当然、各社各様の大きさで、カードを作っただろうと、容易に想像できる。
そこで、規格として、いつ頃決まったのかを調べることにした。 国際規格としては、ISO が有名であるが、なにぶん、規格定義書は有料。何とか、Abstract でそれらしいものを探すと、

1995年第2版 ISO/IEC 7810 Identification cards - Physical characteristics
(識別カード−物理的特性)
#ちなみに価格は、日本円で4000円程。

というのが、目的のものであるらしい。 日本の JIS 規格は、海外から入ってくる製品等にあわせるため、ISO を追随することがあるから、この ISO に準拠した規格が存在するだろうと調べると、

JIS X 6301-1998

が、これに該当する。
さて、ISO を見れば分かると思うが、1995年の第2版となっていることから、当然、第1版があったはずである。 JIS X 6301-1998 自体も、JIS X 6301-1979を改訂したものであることが明記されていることから、 ISO/IEC 7810 の第1版は、第2版(1995年)とJIS X 6301-1998の差を考慮すると、1976年前後の可能性がある。

      
・  (クレジット)カードのサイズ(規格)
 

正式な大きさは、どうなっているのか?
現在、規格書として参照できる、JIS X 6301-1998 を拝見すると、以下の3種類が定義されている。

番号長辺[mm]短辺[mm]厚さ[mm]
ID-185.6053.980.76
ID-2105.0074.000.76
ID-3125.0088.000.76

通常、「カードサイズ」=「クレジットカードの大きさ」は、上記の表から、ID-1 になる。
ちなみに、「名刺サイズ」だと、91mm×55mm の4号名刺が一般的で、上記の表では、ID-1 と ID-2 の中間になる。
#欧米サイズだと 89mm×51mm

      
・  (クレジット)カードサイズの製品の歴史
 

現在、判明している代表的な製品の発売時期をいかに記す。

1978(昭和53)年1月CASIO LC-78
サイズ:名刺サイズ(詳細不明)
厚さは、3.9mm。
1978(昭和53)年11月CASIO LC-79
サイズ:54×85×2mm 31g
厚さを除けば、「クレジットカードサイズ」である。
1982(昭和57)年12月23日カード式公衆電話登場
テレフォン・カードの大きさは、これより前に決まっていたことになる。
1983(昭和58)年4月CASIO カード電卓 SL-800
サイズ:54×85×0.8mm 12g
まさに「クレジットカードサイズ」として最初に登場したもの。
1983(昭和58)年12月シャープ カード電卓 EL-900
サイズ:54×85.5×0.8mm
1985(昭和60)年1月CASIO カードラジオ(型番不明)
1986(昭和61)年10月林刃物 PLATEON
この商品の登場をきっかけに、カード文具・カードツールが流行する。
1986(昭和61)年10〜12月ゼブラ CARDY CSB-1000
これが初のカード文具になる。
以後、続々と製品が登場する。以下は、発売時期が特定されている製品
1987(昭和62)年8月レジャーコミュニケーションシステムズ : リーグミニ・スケッチング
1987(昭和62)年10月タンゴ : イン・カード
1988(昭和63)年 積水化学工業(株) : MemoJack 105/TGMJ-NB、WordJack/TGWJ-EM
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研究室長 兼 所長 どら 

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