樹木鉛筆 / Woods Pencils

Vol.1 の中身

Vol.2 の中身

 
Product Name:WOODS PENCILS
 VOL.1 (No.1〜12)
 VOL.2 (No.13〜24)
Direction:Shigeki Miyamoto
Planning:Takeshi Ohmae
Manufacturing:Collen Pencil Co;Ltd.
Year:1996
Price:Vol.1 \3,800
Vol.2 \3,800

コーリン鉛筆が製造した、家具などに使用される木材を軸材にした鉛筆である。
株式会社ミネルバが企画し、コーリン鉛筆は製造を委託されていたと思われる。 一般の文具店では小売りされておらず、株式会社ミネルバや教育雑貨店「THE STUDY ROOM」で販売されていた。

全部で24種類の木材が使用され、1本1本に、木材の名称・産地・比重(*1)が明記されている。 機械の調整を種類毎に変更しなければならないことを考えると、かなり大変な企画だったと思える。

(*1)比重(Specific gravity)
ある物質の質量と、それと同体積の基準となる物質の質量との比。 固体や液体は、摂氏 4 度の水が基準物質で、体積が 1[m³]の場合、1[t]の質量に対する比ということになる。
つまり、比重1は、水と同じで、1より小さいと水に浮き、1より大きいと水に沈むと言うことを表す。

木材の比重には、次の2種類がある。

  • 全乾比重:含水率 0% 時の比重
           (=水分を含まない乾燥状態の比重)
  • 気乾比重:含水率 15% 程度の比重
           (=大気中で自然乾燥させたときの比重)
一般的には、気乾比重が使用されており、樹木鉛筆もおそらく気乾比重の値が表記されていると思われる。 しかし、鉛筆に表記されている値と参照したサイトで表記されている値とは異なる場合が多い。

ちなみに、鉛筆で一般的に使用されるインセンス・シダー(Incense-cedar/California Incense-cedar)の比重は、 0.37 である。

参考
世界の銘木 木材図鑑 http://www.fuchu.or.jp/~kagu/mokuzai/


樹種名ローズウッド
科目マメ科 Dalbeegia 属の広葉樹
学名Aniba rosaeodora
英語名Rose wood
主な産地熱帯から亜熱帯に分布
気乾比重0.82〜1.09

名前からも分かるように、バラのような香りをすることに由来する「ローズウッド」。
同じ「ローズウッド」でも、精油から香料を得るためのクスノキ科もあるが、木材と使用されているのは、マメ科のもので、紫檀も同じ仲間である。


樹種名アカガシ [赤樫]
科目ブナ科コナラ属の常緑広葉樹
学名Quercus acuta Thunb.
英語名Ring cupped oak
主な産地本州中南部から四国、九州に自生。また、朝鮮南部、台湾、中国にも分布
気乾比重0.80〜1.05 平均値 0.87

農工具の柄などに使用され、国産材の中では硬い部類になる。おもしろいところでは、木刀は、この木材が使用されていることが多い。


樹種名オバンコール/オバンコル
科目マメ科 Guibourtia 属の広葉樹
学名Guibourtia ehie J.Leonard
英語名Ovangkol
主な産地アフリカの象牙海岸、ガーナ、ナイジェリア、ガボンなど
気乾比重0.73〜0.85

重硬な材で、ウォルナットに良く似た木材で、高級家具材や床材など装飾性の高いところで利用されている。


樹種名アフリカンパドック
科目マメ科 Pterocarpus 属の広葉樹
学名P.soyauxii Taub.
英語名African padouk
主な産地西アフリカ。特に、ナイジェリア、カメルーン、ザイールなど
気乾比重0.63〜0.90

マリンバ(=木琴)の鍵盤部(=ばちで叩かれれる木)に使われている場合が多く、木材の名前は分からずとも、目にしていることが多い。


樹種名アサダ
科目バノキ科アサダ属の落葉広葉樹
学名Ostrya japonica
英語名Hop hornbeam
主な産地北海道、本州、四国、九州に自生。また、朝鮮南部、済州島、中国にも分布
気乾比重0.60〜0.87 平均値 0.73

北海道では、家具材として馴染みが深い木材であるが、何故か北海道以外では、使用されることが少ない。 主に北海道の日高地方や十勝地方に多いからだろうか。


樹種名アオダモ
科目モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹
学名Fraxinus lanuginosa f. serrata
英語名Japanese manchurean
主な産地北海道、本州、四国、九州に自生。また、南千島や朝鮮にも分布
気乾比重0.62〜0.71

野球の木製バットの材質として有名なのが、このアオダモ。最近は少なくなった木製テニスラケットやスキー板にも使用されている。野球バットなどのスポーツ用具に使用される理由は、硬い材質の割にねばりがあるため。つまる、衝撃を加えても、折れにくい特徴を持っているためである。
アオダモのアオは、樹皮を水に入れると青くなることからきたものらしく、この青い汁は染料に使われたこともある。


樹種名チーク [柚木・油木]
科目クマツヅラ科Tectonacc属の落葉広葉樹
学名Tectona grandis L.f.
英語名Teak
主な産地タイ、ミャンマー、インドネシアなど
気乾比重0.57〜0.69

高級材として有名な木材。 現在は自然保護のため伐採禁止になっている所が多く、輸入が大変厳しくなっている。


樹種名ブナ [椈・山毛欅]
科目ブナ科ブナ属の落葉広葉樹
学名Fagus crenata
英語名Beech / Japanese beech
主な産地北海道南部から本州、四国、九州に産し、山の奥地に多く生育。東北が主産地
気乾比重0.63

ブナと言えば、世界遺産にも登録された白神山地のブナ林が有名であるが、木材としては、狂いが生じやすく近年は、利用価値が少ない。


樹種名ヤマザクラ [山桜]
科目バラ科サクラ属の落葉広葉樹
学名Prunus jamasakura
英語名Plum cherry
主な産地本州、四国、九州に自生。また、朝鮮半島にも分布
気乾比重0.60

サクラの木は、狂いも少なく、耐久性も高いことから、高級家具材や楽器、彫刻に使われることが多い。 また、スモークチップとしての人気も高い。


樹種名ウォルナット / ブラック・ウォルナット
科目クルミ科 Juglans 属 の落葉広葉樹
学名Juglans nigra L.
英語名Walnut / Black Walnut
主な産地アメリカ東部及びカナダのオンタリオ州など。特に、ミズーリー、オハイオ、インディアナなどが主産地
気乾比重0.63

チーク、ローズウッド、マホガニーと並ぶ世界的な高級材の一つ。 衝撃に強い特性を持ち、ライフルなどの銃床材に使われているのも、この木材である。


樹種名イチイ [一位]
科目イチイ科イチイ属の常緑針葉樹
学名Taxus cuspidata
英語名Japanese yew
主な産地北海道から九州までの深山に自生
気乾比重0.45〜0.62

木目が細かく美しくて、加工もしやすい、と彫刻材に利用され、 北海道で有名なアイヌの熊の木彫りは、この木材が主に使用されている。
鉛筆材としても使用されるようだが、どの程度が、この木材になっているかは不明。


樹種名キリ [桐]
科目ゴマノハグサ科キリ属の落葉広葉樹
学名Pauloumia tomentosa
英語名Paulownia / Royal paulownia
主な産地北海道南部以南において植栽
気乾比重0.19〜0.30

桐といえば、箪笥(タンス)というほど、馴染みの深い木材。日本の木材の中ではもっとも軽い。


樹種名コクタン [黒檀]
科目カキノキ科カキノキ属の常緑広葉樹
学名Diospyros philippensis Gurke
英語名Ceylon ebony
主な産地インドネシア(セレベス島)を中心に東南アジア全域に生育。また、アフリカの一部にも分布
気乾比重0.85〜1.09

樹木鉛筆の中で、もっとも重い鉛筆。非常に重く硬い木材で、耐久性は非常に優れている。 黒檀と聞いて、真っ先に思いつくのが、仏壇であるが、他に、ゴルフのクラブヘッドなどにも用いられている。


樹種名パオロッサ
科目マメ科ジャケツイバラ科の広葉樹
学名Swartzia fistuloides
英語名Pao rosa
主な産地コンゴなど赤道アフリカに多い
気乾比重1.02

別名、アフリカ紫檀とも呼ばれる。実は、黒檀と同じく仏壇に使用されていることが多い木材。黒檀に比べ安価であるため、黒檀の代替に使われているようだ。


樹種名ゼブラノ / ゼブラウッド
科目マメ科 Microberlinia 属の広葉樹
学名Microberlinia Brazzavillensis A.Chev.
英語名Zebrano / Zebra wood
主な産地アフリカに分布し、ガボン、ナイジェリア、カメルーン、タンザニアなどの熱帯雨林に生育
気乾比重0.69〜0.84

昭和30〜40年代にかけて、洋服タンスの化粧板に使われたのが、この木材。材は黄色で赤色の縞があることから、「ゼブラ」の名が付いている。写真の鉛筆軸の幅では、ゼブラウッドの特徴がわかりにくいかも知れない。


樹種名モッコク [木斛]/ アカミノキ
科目ツバキ科モッコク属
学名Ternstroemia gymnanthera
英語名Ternstroemia / MOKKOKU
主な産地本州、四国、九州、沖縄、東南アジア
気乾比重0.80

日本庭園などの庭木、公園樹として植えられていることが多い。ツゲ(柘植)と並んで、櫛用材として使われている。


樹種名アフロルモシア / アサメラ
科目マメ科 Pericopsis 属の広葉樹
学名Afrormosia elata Harms.
英語名Afroromosia / Asamela
主な産地アイボリーコースト(象牙海岸)、ガーナ、ザイールなどに生育する
気乾比重0.60〜0.80

高級材のチークの代用として使われることが多い。


樹種名ケヤキ [欅]
科目ニレ科ケヤキ属の落葉広葉樹
学名Zelkova serrata
英語名Japanese zelkova
主な産地本州、四国、九州に自生し、朝鮮にも分布する
気乾比重0.47〜0.69

日本を代表する落葉広葉樹。古くから、建築材、家具材、建具材として広く利用されている。特に、寺社建築に使われていたり、昔の家の大黒柱も、この木材のことが多い。


樹種名マドローネ / マドロナ / パシフィックマドローン
科目ツツジ科アルブツス属
学名Arbutus menziesii
英語名Madrone / Pacific madrone
主な産地アメリカ西海岸に分布する
気乾比重0.64〜0.77

この樹木のこぶ(瘤)が非常に有名で、装飾材として珍重されている。


樹種名ミズナラ [水楢]
科目ブナ科コナラ属の落葉広葉樹
学名Quercus crispula
英語名Japanese oak
主な産地北海道から本州、四国、九州に生育。樺太、千島、朝鮮にも分布。
気乾比重0.67

ウィスキーなどの洋酒の樽の材料に使われている。
特に、北海道産が質・量ともに有名で、「道産の楢」と呼ばれる。
ちなみに、三菱鉛筆のピュアモルトシリーズで使用されているのは、ホワイトオーク。


樹種名ヨーロピアンメープル / ホワイト シカモア
科目カエデ科の落葉広葉樹
学名Acer Pseudoplatanus
英語名Europianmaple
主な産地ヨーロッパ中部及び西アジアに分布。
気乾比重0.54

ストラディバリウスに代表される高級なヴァイオリンに使われているのが、この木材。 ホワイトシカモアという名前は、日本の木材業界だけで通用する名称で、海外ではシカモアメープル、ヨーロピアンメープルの名前で流通している。
アメリカにも生育するが、フランス産ものが最高の材とされている。


樹種名マホガニー [桃花心木]
科目センダン科の広葉樹
学名Swietenia macrophylla King.
英語名Mahogany
主な産地中米及び南米に分布
気乾比重0.65

高級車のダッシュボードなど、内装装飾材として使用されていることで有名。 古くから世界的な銘木の一つとなっている。


樹種名カヤ [榧]
科目イチイ科カヤ属の常緑針葉樹
学名Torreya nucifera
英語名Japanese torreya
主な産地本州中南部から四国、九州の主として暖帯に生育。また、朝鮮にも分布する
気乾比重0.51

水や湿気に対して腐りにくいため、風呂桶などの浴室用具、船舶材に使用されてる。 また、碁・将棋盤の材質としても有名。


樹種名ヒノキ [檜・檜木・扁柏]
科目ヒノキ科ヒノキ属の常緑針葉樹
学名Chamaecyparis obtusa
英語名Hinoki cypress / Japanese cypress
主な産地日本特産種で、本州中部から四国、九州を経て屋久島に分布
気乾比重0.41

日本特産種で、日本を代表する木材。 寺社建築、家具材など幅広く使用されている。また、耐水性も良いことから、風呂道具にも使用されている。
軸には、"Japanese cypress" と表記されているが、最近の英語名は、"Hinoki cypress"となっている。


所長 どら 
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Last update: 2008/06/16

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